私は以前「調理師」をしていたのですが、職場で不満なことがあると辞めたいって気持ちが強くなってしまって一旦仕事を辞めて「失業保険」をもらいながら転職活動すれば大丈夫かなって軽はずみな気持ちがありました。
しかし詳しく調べてみると「失業保険」を利用するのって予想以上に簡単ではないことを知ったのです。
辞める前にしっかり調べていて本当に良かったと思っています。
「失業保険」って利用することがほとんどない為、ハローワークで手続きすることは知っていても詳細を知らなかったり、本当にもらえるか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では「失業保険」を利用したい人に申請するにあたっての条件や手順、金額、受け取るまでの期間など全体的に話していければと思います。
- 「失業保険」を利用しようと思っている人
- 「失業保険」を申請できる条件や手順がわからない人
- 「失業保険」で自分はいくらもらえるのか気になる人
特に「自分は失業保険をもらえるのか?」、「いくらもらえるの?」、「どれくらいの期間給付してもらえるのかな?」など疑問に感じる方が多いと思いますのでまずそこから話していきたいと思います。
「失業保険」を受け取る為の資格とは?
ハローワークで手続きをするだけで「失業保険」が給付されると思いがちですが実は受け取る為には資格があります。
失業状態ならもらえる訳ではないのでこちらをまずチェックして下さい。
✔️ 就職しようとする積極的な意思があること。
✔️ 就職活動を行なっているが「失業状態」であること。
✔️ 離職した過去2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。
✔️ 特定受給資格者又は特定理由離職者の場合は離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること。
つまり仕事を辞め、手続きしたから失業保険が普及されるわけではありません。
この4つの条件がそろってやっと申請することが出来ます。
就職したい気持ち(就職活動をしていることを相手に伝えること)、被保険者期間が規定を満たしていることが大切なのです。
また3つ目の「離職した過去2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。」に関して疑問に思った方もいると思いますがそれは「退職した会社で雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が、退職日以前の2年間に12カ月以上あるかどうか」を表しています。
雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)とは、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月として計算しています。
つまり簡単に説明すると退職するまでの2年間に、11日以上働いた月が合計して12カ月以上あることが必須条件になるのです。
もちろん、2年の間に転職をしていてもトータルして12ヶ月以上あれば問題ありません。
逆を言うと就職する熱意があったとしても過去2年間、11日以上働いた月が合計して12カ月以上あることない状態では「失業保険」を受給することはできないと言うことです。
もう一点、4つ目の「特定受給資格者又は特定理由離職者」に関して疑問に思う方もいるかと思いますがこちらは「正当な理由で自己都合で退職したケース」を表しています。
それでは「正当な理由」とは、何でしょうか?
- 体力の不足や心身の障害で退職した場合
- 家庭や結婚などの事情による住所変更で通勤が困難になった場合
- 妊娠・出産・育児等で退職し基本手当の受給期間延長措置を受けた場合
- 親など身内を介護するために退職せざるを得なかった場合
こちらは一例になりますがやむおえず退職するケースが対象になってきます。
もし自分が上記内容に該当するまたは近い状況の場合はハローワークに一度確認してみるといいでしょう。
しかしこの場合も、大前提として「離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること。」も条件になってくるので忘れないで下さい。
「失業保険」を受給できないケース
「失業保険」を受給するためには就職したい気持ちがあること、雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)の2つが必須だと話しました。
しかしながら、環境や状況を踏まえ適さないと判断され却下されるケースもあります。
そんな一例を紹介します。
- 病気やけがが原因で、すぐには就職できない状態である場合
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できない状態の場合
- 定年や諸事情で退職して、休養しようと考えている場合
- 結婚などのにより家事に専念し、すぐに就職することができない場合
ちなみに失業保険を受給して就職したがすぐに辞めてしまったケースは過去2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あったとしても受給申請が下りない可能性があります。
退職理由が適正でないと再度受給することはできません。
もちろん就職し1年以上働き、被保険者期間が通算して12か月ある状態で退職した場合は再度「失業保険」をもらうことが出来ます。
失業保険でいくらもらうことが出来るの?
失業保険の支給額は個人個人で異なります。
まずは雇用保険で受給できる1日当たりの金額(基本手当日額)を調べる必要があります。
この「基本手当日額」は離職した日の直前の6か月のボーナスを除いた給料(残業込み)の合計を180で割って算出した金額のおよそ45~80%(人により違う)で求めることが出来ます。
つまり6ヶ月の合計給料額➗180日で1日あたりの給料平均額を出し、そこに給付率をかけたものがあなたの「失業保険でもらえる1日当たりの金額」になるということです。
正式に「失業保険」が受理された場合、基本的に4週間ごとに4週間分、給付されるので基本手当日額×28日(4週間)が一回で振り込まれる金額になります。
給付率は賃金が低いほど高くなっており、また給付金額は変動することがあるため最新版を見ることに注意して下さい。
1日当たりの給付額(基本手当日額)には上限があります。
過去6ヶ月がかなり残業が多かったとしても1日当たりの給付額(基本手当日額)には上限がある為、もらえる額には限度があるということです。
こちらは令和元年7月21日現在での最新版を厚生労働省のページから引用したものになります。
過去6ヶ月の1日の平均給料額を算出した上でご覧ください。
雇用保険の基本手当日額が変更になります ~平成 30 年 8 月 1 日から~
厚生労働省 都道府県労働局・ハローワーク より引用
少しややこしい部分があるのでもっと簡単に自分の給付金額を調べたい方はこちらのサイトで簡単に調べることができるのでオススメです。
「失業保険」をもらう為の手順
ここまで「失業保険」をもらう為の条件や金額等を見て頂いたので、ここからは「失業保険」の手続きを具体的に説明します。
現在あなたが住んでいる市町村を管轄するハローワークに行き離職票など必要書類の提出、「求職の申込み」の手続きをすることが第一のステップになります。
必要書類はこちらになります。
- 雇用保険被保険者離職票(1、2)
- 個人番号確認書類(いずれか1つ)
マイナンバーカード、通知カード又は個人番号の記載のある住民票 - 身元確認書類(マイナンバー、運転免許証など)
- 写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
雇用保険被保険者離職票(1、2)って?
「雇用保険被保険者離職票(1、2)」とは俗に言う「離職票」のことで1と2の二枚あります。
「雇用保険被保険者離職票-1」は雇用保険の資格喪失を通知するもの、「雇用保険被保険者離職票-2」は離職前の賃金支払い状況と離職理由が記載されています。
失業保険の振込先はどこでもいいの?
一般的な普通預金口座ならば問題なく振り込んでもらえます。
ただし、インターネットバンクや外資系銀行、新設されたばかりの銀行などは受け付けていないので注意して下さい。
今後対応可能になる場合もあるので申請時に再度確認すると良いでしょう。
失業保険はいつからもらえるの?もらえる期間は?
「失業保険」を受給できる期間は退職日の翌日から1年と決められていますので必要書類が揃い次第、すぐに申請することをオススメします。
では申請後、給付はいつから始まるのでしょうか。実は「失業保険」を申請したからと言ってすぐに給付される訳ではありません!!
申請後に7日間ほど待機期間といった期間があり、その期間に本当に失業状態であるか確認されます。
この期間は失業であることを証明する期間なので日雇いバイトなどもしてはいけません。
アルバイト等をした場合、働いた翌日から待期期間の日数がリセットされてしまいますのでご注意下さい。
その後、「雇用保険受給者初回説明会」という説明会に出席することが義務付けられます。
その説明会で失業保険に関する説明を受け、「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」を受け取ります。
また第一回目の「失業認定日」を伝えられるので必ず参加します。
「失業認定日」と言うのはその後も4週間に1度あり「失業状態にあることの確認」の為に行われています。
ここで問題なければ給付は開始されます。
地域によって振込みまでの日数は異なりますがだいたい2日〜1週間を見るといいでしょう。
ここまでのケースは会社都合で退職を余儀なくされた場合のみで自己都合で退職した場合はこれより3ヶ月の給付制限期間があります。
「失業認定日」に求職活動を証明する必要がある
初回は「雇用保険受給者初回説明会」に参加するだけでいいのですがその後の「失業認定日」ごとに求職活動をしていることを証明しなくてはいけません。
原則2回以上(自己都合の場合は原則として3回以上)と決められており、こちらの条件を満たしたものを数えることが出来ます。
- 求人への応募
- ハローワークが行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、各種講習、セミナーの受講など
- 許可・届出のある民間機関(民間職業紹介機関、労働者派遣機関)が行う、職業相談、職業紹介等を受けたこと、求職活動方法等を指導するセミナー等の受講など
- 公的機関等((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構、地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)が実施する職業相談等を受けたこと、各種講習・セミナー、個別相談ができる企業説明会等の受講、参加など
- 再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験
ハローワークインターネットサービス 求職活動の範囲より引用
初回の失業保険が給付されるまでのスケジュール
ここまでの内容をまとめるとこのようなスケジュールになります。
■会社都合の場合
離職票が届くまで2週間程度+待機期間(1週間)+雇用保険受給説明会(1週間前後)+失業認定日まで1週間前後+振込みまで1週間程度=1ヶ月強
■自己都合の場合
離職票が届くまで2週間程度+待機期間(1週間)+雇用保険受給説明会(1週間前後)+失業認定日まで1週間前後++給付制限(3ヶ月)+振込みまで1週間程度=4ヶ月強
こう考えると会社都合でも1ヶ月程度かかることがわかると思います。
自己都合で辞める場合、スムーズにいっても給付まで約4ヶ月かかるのです。
「失業保険」をスムーズに貰うことは大変なことだってわかったでしょうか。
次の仕事が決まっていない状態で仕事を辞めた場合、特に「自己都合」で退職していると無給の期間が4ヶ月続くということです。
状況にもよりますが、なるべく次の仕事を決める方がいいことがわかると思います。
他にも少し裏技があって自己都合でも会社都合にできる場合があることを話したいと思います。
会社都合にできれば、約1ヶ月待つことで「失業保険」を貰うことが出来ます。
条件に当てはまった場合、退職後にハローワークで手続きすることで自己都合から会社都合にすることが出来ます。
ただし、証明するものが必要になってきますのでそこだけ注意して下さい。
- 過去6カ月間のうち、45時間以上残業した月が連続3カ月以上続いていた場合
- 過去6カ月間のうち、100時間以上残業した月が1ヶ月以上ある場合
- 給料額が85%未満に減額された場合
- 極端な業務内容の変更があった場合
- 嫌がらせパワハラ、セクハラ等があった場合
- 病気や怪我、精神的な障害がある場合 など
「自己都合」で退職しても「会社都合」にハローワークを通じて変えることができるかもしれないです。
労働時間に関して証明する場合はタイムカードを記録しておくこと、業務内容の変更は例えば「調理師」で入ったにも関わらず「サービス」を前置きもなくやらされたケースなども該当します。
条件や状況によって判断のされ方が違ってくるので、上記に1つでも該当する場合は一度ハローワークに相談して意見をもらって下さい。
ちなみにですが自己都合の場合の3ヶ月給付制限中に日雇いやバイトなどで働くことは問題ありません。
給付が始まった場合でも週20時間未満の労働は許されています。
失業保険はどのくらいの期間もらえるのか?
失業保険をもらえる期間は「被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)、つまり働いていた期間」と「自己都合か?会社都合か?」、「年齢」によって大きく異なります。
こちらを見て自分がどこに該当するか確認して下さい。
見てわかると思いますが「会社都合」で退職した場合の方がかなり優遇されています。
「失業保険」は個人的にあまりオススメ出来ません
ここまで見て「意外と面倒だな。」、「これしか貰えないのか。」、「自己都合だと給付が約4ヶ月後か。。」と思ったのではないでしょうか。
「失業保険」を利用することに関しては良いと思います。
ただ退職前にある程度、今後のスケジュールを組んだ上で利用しないと後悔する人が多く出てくると思います。
一定期間ゆっくり転職活動したいから「失業保険」を利用したいって人には良い制度だと思いますが、「自己都合」の場合はどうしてもリードタイムがあるため申請しないでむしろ転職活動をしてすぐに働き始めた方がいいと思います。
まとめ
今回の記事で「失業保険」の全体像を少しでも掴んで頂けたら嬉しいです。
「失業保険」は「会社都合」で退職した人がメインの制度です。
なので「自己都合」の退職者には扱い辛い制度でもあります。
自分の状況や退職後のスケジュールをまとめた上で利用すれば後悔のない転職活動ができるのではないでしょうか。
今回は以上になります。 最後まで読んで頂きありがとう御座います。
コメント